大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)339 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士神道寛次の上告理由について。

論旨は、催告解除の原因となつた賃料が立入禁止使用不許の仮処分執行前のもの

と雖も、明らかに賃貸借存続中にも拘らず賃貸人の責に帰すべき事由により、賃借

人をして賃借物の使用収益を妨げ、多大の損害を与えながら、第一審訴訟の最終段

階に至り突然一方的に解除権を行使することは、信義誠実の原則に背き解除権の濫

用であつて、民法一条に違反する、原審は上告人の抗弁あるにかかわらず民法一条

の適用に関し何等の審理判断をなさなかつたのは、法律の適用を誤つた違法がある

と共に、審理不尽、判断遺脱、理由不備の違法があると主張するのである。しかし

ながら、原判決が、被上告人は昭和二四年三月一四日上告人に対し本件建物の賃貸

借契約に基く昭和二二年一〇月分から昭和二三年八月分迄の賃料合計金四千四百円

の履行を催告したが、上告人がその履行をしなかつたので賃貸借契約は適法に解除

されたと判示したことは正当であつて、どこにも違法のかどはない。原審で上告人

は第一審におけると同様に、被上告人から賃貸借契約存続中二年の賃貸期間の満了

を理由として、建物明渡の請求を受けたから、賃料不払については延滞の責任がな

く、延滞を理由とする契約解除は権利の濫用であると主張したことになるが、原判

決は前記場合においても延滞の存することを説示し権利の濫用に出でたものとは考

えられない旨を明らかに判示しているのであつて、どこにも違法と認むべき点はな

い。上告理由においては、新たに賃貸借存続中仮処分の執行を受け上告人は本件家

屋の使用収益は勿論立入すら禁止されたのであるから、第一審訴訟の最終段階に至

り解除権を行使することは権利の濫用であると主張するが、その仮処分は上告人主

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張のごとく期間満了を理由とするものではなく、上告人が他に移転し本件家屋には

唯錠を下したるままで空屋として放置し不用心であるとの理由でなされたもので、

この仮処分執行の故に前述のごとく適法になされた本件解除が権利の濫用と認めら

るべき事由はどこにも存在しない。従つて、論旨は理由がない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 真 野 毅

裁判官 岩 松 三 郎

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